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ビタミンDの不足と不妊症の関連について
ビタミンDは骨の形成やカルシウムの代謝だけではなく、ホルモン分泌や免疫反応にも関与する重要な脂溶性ビタミンです。近年、ビタミンDと不妊症の関連について複数の研究が行われており、これらの研究結果をまとめたメタアナライシスと呼ばれる統計解析から、次のことが明らかになっています。
ビタミンDが充足している患者は、
欠乏している患者よりも妊娠反応陽性率が有意に高い(図1)

欠乏している患者よりも臨床妊娠率が有意に高い(図2)

欠乏している患者と不足している患者よりも、流産率が有意に低い(図3)

これらの結果から、体内のビタミンDを充足状態にすることで妊娠率が向上し、流産率が低下する可能性が示唆されています。
体内に取り込まれたビタミンDは肝臓で水酸化されて25-ヒドロキシビタミンDとなり、腎臓で1α,25-ジヒドロキシビタミンD(活性型ビタミンD)へと代謝されます。ビタミンDは脂肪組織に貯蓄されるか、25-ヒドロキシビタミンDの形で血液中を循環しています。
日本内分泌学会では、ビタミンDの不足・欠乏の判定基準として、血中の25-ヒドロキシビタミンDの濃度を以下のように定めています。
| 20ng/ml未満 | ビタミンD欠乏 |
| 20ng/ml以上~30ng/ml未満 | ビタミンD不足 |
| 30ng/ml以上 | ビタミンD充足 |
ビタミンDはきのこ類や鮭やサンマなどの魚に多く含まれています。日本では成人の男女ともに1日9.0μgが食事からの摂取量の目安とされていますが、食品のみで十分量を摂取することが難しいビタミンです。血液検査でビタミンDの不足を指摘された方は、医師の指導のもとサプリメントで適正量を補充するなどの生活改善をお勧めします。
参考文献
・Human reproduction 2018 Jan;33(1):65-80
・Fertil Steril. 2022 Jul;118(1):111-122.
・日本内分泌学会「ビタミンD不足・欠乏の判定指針」2017
2026/5/9
名古屋上前津ARTクリニック 胚培養士 M.K.
本コラムは一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診療方針を示すものではありません。
治療に関する最終的な判断は、主治医との十分な相談のうえで行ってください。
※当院は、名古屋市・中区・上前津駅5番出口目の前の不妊治療クリニックです。
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